セサミンはなぜ身体にいいの?
ゴマに含まれるセサミンは、うつ病や肥満、老化などを予防してくれる栄養素として人気があります。
このセサミンはなぜ身体にいいのでしょうか?セサミンの効能をしくみからじっくりと解説します。
セサミンとは
セサミンはゴマに含まれる栄養素で、栄養学的にはポリフェノールの一種です。
そのため、五大栄養素(人体に必須の5種類の栄養素;タンパク質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラル)ではないのですが、数多くの効能を持ち、健康問題に効果があるとして注目されています。
抗酸化作用を持つ抗酸化物質
セサミンの持つ性質の一つが「抗酸化作用」です。
人体にとって酸素は無くてはならないものですが、酸素が時折有害な活性酸素に変化してしまうことがあります。
活性酸素は周囲の細胞や組織にダメージを与え、ガンやうつ病、老化現象の原因となります。
この活性酸素と反応してこれを除去する働きが「抗酸化作用」で、抗酸化作用を持つ物質のことを「抗酸化物質」と呼びます。
セサミンの抗酸化作用は過酸化脂質に作用する
活性酸素にはいくつかの種類があり、セサミンが除去するのは、過酸化脂質と呼ばれる、脂質が活性酸素の影響で酸化されて生まれたタイプの活性酸素です。
過酸化脂質が一度発生すると、余分な中性脂肪が次々に酸化されて、連鎖的に過酸化脂質が発生してしまうため非常に厄介な存在です。
同じく抗酸化作用を持つ栄養素として馴染み深いビタミンCなどには、過酸化脂質の発生を止める働きはないため、過酸化脂質に特化したセサミンの抗酸化作用が役に立つのです。
ちなみに、セサミンと同じように過酸化脂質の発生を抑える抗酸化物質には、ビタミンEがあります。
セサミンの効能とそのしくみ
セサミンの抗酸化作用に基づく効能
先ほどご紹介した「抗酸化作用」ですが、セサミンの効能の大半はこれに基づいています。
活性酸素によって引き起こされると考えられている症状には次のようなものがあります。
- ・しみ・しわ・くすみ・たるみなどの肌のトラブル
- ・白髪・薄毛・脱毛などの髪のトラブル
- ・自律神経の乱れから来る精神的な不安定さやうつ症状
- ・動脈硬化
こうして見てみると、人間の外見上の老化現象には、活性酸素が深く関わっていることが分かります。
セサミンは抗酸化作用によって、活性酸素の一種である過酸化脂質の発生を防いでくれるので、これらの症状を抑えることができます。
セサミンの肝臓における効能
肝臓は、食事の栄養素を分解して、人体に必要な物質を合成する働き(代謝)や、アルコールなどの有害物質を分解する働き(解毒)、胆汁の生成などを担っています。
私たちが摂ったセサミンは、胃や腸では吸収されず、肝臓の門脈という部分で吸収され、肝臓で主に働きます。
セサミンは肝臓の酵素に働きかけて肝機能を活発にするため、食事に含まれる栄養素がしっかりと吸収され、健康的な身体状態となります。
これがいわゆる「滋養強壮」です。
また、セサミンはアルコールを分解する酵素に働きかけて、アルコールの分解を早めるため、悪酔いや二日酔いを起こしにくくなります。
肝臓で行われる代謝活動や解毒活動は、多量の活性酸素(人体で発生する活性酸素の約8割)を生み出しますが、それらの活性酸素が肝細胞を傷つけて、機能を喪失させることにより、処理できない脂質が溜まっていって脂肪肝となってしまうことがあります。
脂肪肝になると肝臓の働きが悪くなり、肝硬変や動脈硬化、肝臓ガンの原因となることもあります。
セサミンは主に肝臓で働く栄養素であるため、肝臓で日々発生する多くの活性酸素を次々に除去していきます。
これで脂肪肝を予防することができますし、既に脂肪肝となっている肝臓も新陳代謝と共に次第に回復していきますので、脂肪肝を改善する効果もセサミンにはあるのです。
セサミンの女性ホルモンに関する効能
更年期障害とは
女性ホルモンのエストロゲンは、生殖機能以外にも血行調節や自律神経の調整など女性の身体全体をうまく動かすために働いています。
このエストロゲンが閉経と共に減少することによって起こる不調が「更年期障害」です。
更年期障害の代表的な症状として、以下のようなものがあります。
- ・顔のほてりや発汗、ホットフラッシュ(気温や運動と関係なしに現れる強烈なほてりと発汗)
- ・動悸や眩暈
- ・情緒不安定、抑うつ感、不安感、イライラ感、頭が重い感じ
- ・不眠症状
- ・腰痛や関節痛
- ・吐き気や食欲不振
- ・皮膚の乾燥やかゆみ
- ・頻尿や排尿障害
- ・性交障害や外陰部の違和感
セサミンはエストロゲンの働きを補う
ポリフェノール類の中には、女性ホルモン・エストロゲンと似た構造の栄養素(ファイトエストロゲン)があり、これらの栄養素はエストロゲンと同じような働きを体内でしてくれます。
セサミンもファイトエストロゲンの一種であり、セサミンを摂ることで、減少したエストロゲンの働きを補い、更年期障害を予防・改善することができます。
更年期障害の症状は不定愁訴(患者本人が訴える症状に対して、客観的な原因が見つけられないもの)が多いため、治療は難しいとされています。
セサミンは女性ホルモン・エストロゲンの働きを補うことで更年期障害を予防・改善するわけですが、これは現在、有効な根本的治療法と見なされているホルモン補充療法と似たメカニズムであると言えます。
セサミンのコレステロールに関する効能
肝臓で分解された脂質は、LDLコレステロールの形で全身に運ばれ、末端の余分な脂質がHDLコレステロールとして肝臓に戻ってきます。
血液中のLDLコレステロールが多い場合、肝臓から全身に運ばれる脂質が多いことを意味しますので、身体が肥満に向かっている状態となります。
また、LDLコレステロールの数値が高い場合、動脈硬化や冠動脈疾患になるリスクも増加します。
そのため、LDLコレステロールは別名「悪玉コレステロール」と呼ばれているのです。
セサミンは血液中のLDLコレステロールや中性脂肪といった肥満の原因となる脂質を減らし、これらの数値を下げる働きがあります。
そのため、肥満やメタボリックシンドローム、動脈硬化といったLDLコレステロールが原因となって起こる症状や病気を予防・改善することができます。
セサミンを摂る際の注意点
セサミンが持つ様々な効能を見てきましたが、これらの働きをより効果的なものにするために次の点に気をつけるようにしましょう。
活性酸素を生み出すもの・生活習慣を避ける
セサミンは抗酸化作用によって老化の原因となる活性酸素を除去してくれます。
しかし、活性酸素が体内にあまりに多い場合、焼け石に水となってしまい、相対的に効果が減ってしまうことになります。
なので、なるべく活性酸素を発生させないことが求められます。
活性酸素の原因となるもの・生活習慣には次のようなものがありますので、なるべく避けるようにしましょう。
- ・紫外線
- ・タバコ
- ・過度の飲酒
- ・化学薬品
- ・多量の食品添加物
- ・強いストレス
- ・激しい運動
高脂質・高カロリーの食生活を避ける
高脂質・高カロリーの食生活をしていると体内に余分な脂質が溜まり、中性脂肪・LDLコレステロールの増加に繋がります。
セサミンには血液中のLDLコレステロール値・中性脂肪値を下げる働きがありますが、食事から摂る脂質が多すぎると意味が無くなってしまいます。
また体内、特に肝臓に溜まった脂質が活性酸素によって酸化されることで発生する過酸化脂質は、周囲の細胞や組織にダメージを与えて、脂肪肝や動脈硬化、ガンの原因となります。
セサミンは過酸化脂質を効果的に除去してくれますが、あまりに量が多いと当然、効果は減じてしまうのです。
セサミンの効能を高めるためにも、過酸化脂質のもとである余分な脂質が体内に溜まらないようにする必要があります。
セサミンを毎日継続して摂り続ける
セサミンには、これまで見てきたように多くの効能がありますが、あくまで栄養素であって、医薬品ではありません。
なのでセサミンのサプリメントを飲んだからといって、健康問題がすぐさま劇的に解決するわけではないのです。
その代わり、毎日継続して摂り続けることで、身体を健康的な状態に近づけてくれるものですから、欠かさず摂る習慣をつけましょう。
食生活・睡眠リズムを整える
食生活・睡眠リズムは健康の土台となるものですから、疎かにしてよいはずがありません。
いくらセサミンのサプリメントを飲んだところで、肝心の食生活・睡眠リズムがガタガタであれば、病気になりやすく、容色も衰えやすくなってしまいます。
セサミンだけでなく、食生活や睡眠リズムなどの生活習慣にも気をつけながら健康的な身体作りを目指しましょう。
まとめ
ゴマに含まれるセサミンには、次のような効能があります。
- ・抗酸化作用に基づく効能(しみ・しわや白髪、うつ病などの改善・予防)
- ・肝臓に関する効能(肝機能の向上、脂肪肝の予防・改善)
- ・女性ホルモンに関する効能(更年期障害の予防・改善)
- ・コレステロールに関する効能(血中コレステロール値の低下、肥満や動脈硬化 の予防・改善) セサミンが持つこれらの効能を活かすためにも次のことに気をつける必要があります。
- ・活性酸素を生み出すもの・生活習慣を避ける
- ・高脂質・高カロリーの食生活を避ける
- ・セサミンを毎日継続して摂り続ける
- ・食生活・睡眠リズムを整える