ゴマに含まれる大切な栄養素

セサミンは、肝機能の向上や老化防止、うつ病予防など様々な効能を持つことで人気がある栄養素です。
このセサミンは、私たちが普段食べている食材の中では、ゴマにしか含まれていません。
また、ゴマにはセサミン以外にも多くの重要な栄養素が含まれています。
ゴマに含まれる栄養素について詳しく見ていきましょう。

ゴマに含まれる成分

ゴマは、油脂約50%、タンパク質約25%、炭水化物約20%となっています。
油脂の脂肪酸はリノール酸とオレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が大半を占めています。

タンパク質に関してはメチオニンを多く含んでいるものの、必須アミノ酸であるリジンが不足していますから、大豆などのリジンを多く含む食材と組み合わせると栄養価が高まります。

ゴマに含まれる炭水化物は主に食物繊維です。
そして、ゴマ固有の成分と言っても過言ではない、希少成分ゴマリグナンもゴマには含まれています。

ゴマリグナンの概要

ゴマ固有のポリフェノール類、それがゴマリグナンです。
ゴマリグナンの中には、ゴマからゴマ油・ゴマサラダ油(太白ゴマ油)に精製する過程で増減するものもあります。

セサミン

セサミンは最も知名度が高いゴマリグナンです。
品種にもよりますが、ゴマ1gあたりに0.67~6.35 mg含まれており、ゴマ油には約1%程度の濃度で含まれています。

セサミンは人体に有害な活性酸素(酸素が変化したもので、周囲の細胞や組織を傷つけ、ガンや老化の原因となる)と反応して、これを除去する働き(抗酸化作用)を持っており、セサミンの効能の大半は、この抗酸化作用に由来しています。
セサミンの、抗酸化作用に由来する効能には、次のようなものがあります。

  • ・しみ・しわ・たるみなどの肌の老化の防止
  • ・白髪・脱毛・薄毛などの髪のトラブルの解消
  • ・アテローム性動脈硬化の予防
  • ・脂肪肝の予防・改善
  • ・うつ病・自律神経の乱れの解消

また、抗酸化作用に由来するもの以外にもセサミンには多くの効能があり、その代表的なものは以下のようになります。

  • ・血中の脂質低下
  • ・肥満の予防・改善
  • ・女性ホルモン・エストロゲンのサポート
  • ・ビタミンEの節約

セサモリン

セサモリンはゴマの段階で多く含まれているゴマリグナンで、ゴマからゴマ油やゴマサラダ油を精製する過程で次にご紹介するセサミノールやセサモールに変化するため、ゴマにしか含まれていません。
セサモリンはゴマ1gあたりに1.3~5.23mgも含まれています。
農業・食品技術総合研究機構の調査によると、体内への吸収率や貯蔵量、肝臓の脂質代謝の活性化、ビタミンEの節約についてセサモリンは、セサミンよりも秀でていました。
これほどまでに栄養価の高いセサモリンですが、残念ながら2018年現在サプリメントとして製品化されてはおりません。
そのため、セサモリンを摂りたいという人は、ゴマを積極的に食べるようにしましょう。

セサミノール

セサミノールは、ゴマをゴマサラダ油に精製する際に、セサモリンが変化してできる栄養素です。
一応、ゴマの時点でも少量は含まれていて、ゴマ1gあたりに0.003~0.014mg含まれています。
これがサラダ油では1gあたり0.6~1.4mgに増加します。
セサミンと同様に、セサミノールにも抗酸化作用はあり、動脈硬化の予防に働くとされています。

セサモール

セサモールは、ゴマを茶褐色のゴマ油に精製する際に、セサモリンが変化してできるゴマリグナンです。
セサモールもゴマに僅かながら含まれており、ゴマ1gあたりに0.02~0.108mg含まれています。
セサモールにも抗酸化作用があることが知られています。

エピセサミン

セサミンの構造の一部分がセサミンとは逆側についた化合物(立体異性体)、それがエピセサミンです。
ほんの僅かな違いでしかないため、図で見てもよくよく目を凝らさなければ違いは分からないほどです。
このエピセサミンは、ゴマ油を精製する際に、セサミンの半数が変化することによって生じます。
構造の一部が変化しているだけなので、エピセサミンとセサミンの間に、性質や効能の違いはほとんどありません。
むしろ、一部の効能についてはエピセサミンの方がセサミンよりも優れているという報告もあります。
前出の農業・食品技術総合研究機構の調査では、吸収率や脂質代謝の活性化などにおいて、セサモリンがセサミンよりも優れているという結果でしたが、エピセサミンもセサモリンほどではないものの、調査した全項目でセサミンよりも優れた結果を出したと記録されています。
エピセサミン配合のサプリメントは製品化されていませんが、実は市販のセサミンサプリメントに含まれる「セサミン」の半分はエピセサミンです。
ですから、セサミンをサプリメントで摂る際には、知らず知らずのうちに、エピセサミンも摂っているということになります。

ゴマの栄養素をしっかり摂るために

ここまでにご紹介した通り、ゴマには貴重な栄養素が数多く含まれています。
これらの栄養素を身体にしっかりと摂り入れるためには、どのような点に気をつけるべきでしょうか?

ゴマの殻はすり潰す

ゴマリグナンや他の栄養素は、ゴマの殻の内側にあります。
そのため、硬い殻がついたままのゴマでは、中の栄養成分を十分に吸収することができません。
ゴマを料理に使う際には、必ず「すりゴマ」や「練りゴマ」に加工するようにしてください。

ゴマ油・ゴマサラダ油を積極的に使う

ゴマ油やゴマサラダ油には、1gあたり10mgと、ゴマそのものよりも高い割合でセサミンが含まれています。
これは、これらの油を作る過程で、殻などの余分な部分が取り除かれているからです。
また、セサモリンこそ含まれていないものの、ゴマ油にはセサモールが、ゴマサラダ油にはセサミノールが豊富に含まれています。
ゴマ由来の油が他の油に比べて消費期限が長く、劣化しにくいのはゴマリグナンの抗酸化作用によるものです。
日々の料理に使う油をゴマ由来の油に代えることで、ゴマリグナンを簡単に摂ることができます。
ゴマ油というとあの独特の強い風味から、料理が限定されてしまうと思う人もいるでしょうが、白色透明・無臭のゴマサラダ油(太白ゴマ油)ならば、強い香りも特有の風味もありませんから、普通の料理にも気軽にお使いいただけます。

まとめ

ゴマには、セサミンを始めとして多くの栄養成分が含まれています。
ゴマに含まれる主な栄養素は、重さの約50%を占める脂質(リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸)、25%を占めるタンパク質、20%を占める炭水化物(主に食物繊維)、そしてゴマ固有のポリフェノール類であるゴマリグナンです。
ゴマリグナンにはセサミンやセサモリン、セサミノール、セサモール、エピセサミンなどがあります。
ゴマリグナンの中でも最も有名で、サプリメントとしても人気が高いのがセサミンです。
セサミンは活性酸素を除去する抗酸化作用を持っているため、肌の老化防止や動脈硬化の予防、うつ病予防などに効果を発揮します。
また、セサミンには、抗酸化作用に基づくもの以外にも、血中脂質の低下や女性ホルモン・エストロゲンのサポートといった効能があります。
セサモリンはゴマに多く含まれるゴマリグナンで、ゴマ油・ゴマサラダ油を精製する際にセサミノールやセサモールに変化します。
セサモリンは吸収率や脂質代謝の活性化などにおいて、セサミンよりも優れているという研究報告があります。
セサミンの構造の一部が変化したエピセサミンも、セサモリンと同様に、いくつかの点でセサミンを上回っていることが明らかになっています。
エピセサミンは、ゴマ油の精製時にセサミンの半数が変化することによって生じる他、サプリメントに含まれるセサミンの半分も実はエピセサミンです。
ゴマリグナンはゴマの殻で覆われた内側に含まれているため、殻がついたままでは十分に吸収できません。
そのため、消化しやすくするには、すりゴマや練りゴマに加工する必要があります。
また、ゴマ油・ゴマサラダ油はゴマリグナンを豊富に含んでいるので、料理に積極的に使用するようにしましょう。

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