セサミンの意味は？
ゴマの栄養素セサミンは、肝機能の向上や老化防止、うつ病予防など様々な効能で人気がある栄養素です。
この「セサミン」はどういった意味で名づけられているのでしょうか。
セサミンの名前の意味や発見の経緯についてご紹介します。
「セサミン」の意味
セサミンは英語では〝sesamin"と書きますが、綴りの中に〝sesam"と「ゴマ」の〝sesame"の一部が入っていますね。
これを見るとわかるように、セサミンはゴマとは切っても切れない栄養素なのです。
セサミンを含む植物はゴマ以外にも、イチョウやサンショウの樹皮などがあるのですが、普段から私たちが食用とするものの中ではゴマにしか含まれていません。
そのため、セサミンの名称の中にゴマが入っているのです。
ちなみに、ゴマには、セサミン以外にもセサミンと構造や働きがよく似た栄養素、セサミノールやセサモール、セサモリンなどが含まれており、これらは皆、ゴマ固有の栄養素と言ってもよい存在なので「ゴマリグナン」と総称されています。
セサミンは正式名称ではない？
セサミンとゴマが切っても切れない関係であるがために、名前にまでそれが表れているとご紹介しましたが、実はセサミンの正式名称は「セサミン」ではないのです。
化学物質が新たに発見されると、構造の特徴などからIUPAC命名法というルールに従って、IUPAC名という名称が名づけられます。
このIUPAC名が化学界における万国共通の正式名称なのですが、そのIUPAC名ではセサミンは5,5'-(1S,3aR,4S,6aR)-tetrahydro-1H,3H- furo[3,4-c]furan-1,4-diylbis(1,3-benzodioxole)となります。
これでは長すぎてとても実用的ではありません。
そのため、実用的なあだ名として「セサミン」というゴマ由来の栄養素であることが分かるあだ名がついているのです。
このように、私たちが普段慣れ親しんでいる栄養素の名前はほとんどが正式名称ではなく、あだ名の方なのです。
セサミンには他にも、〝Fagarol"、〝Sezamin"、〝pseudocubebin"
〝Episesamin"、〝Asarinin"などの名称があります。
これらの名称は皆、化学界で用いるものですので、私たちが普段目にすることはまずありません。
セサミンが一般的名称として既に普及しています。
なお、〝Asarinin(アサリニン)"はフタバアオイという植物由来の漢方薬「細辛」に関するトピックで使われることが時たまあります。
セサミン研究は日本が世界にリード
セサミンの研究は、実はその発見から日本が世界に大きくリードしています。
セサミンが発見され、研究が進むきっかけとなったのは京都大学とサントリーの共同研究「夢のあぶらプロジェクト」でした。
健康に良い成分であるアラキドン酸を合成する微生物と様々な油を反応させる研究を行っていたところ、ゴマ油との反応の時だけアラキドン酸は合成されませんでした。
その理由を探っていくうちに、セサミンが発見されたというわけです。
セサミンの発見からほどなくして、サントリーは今度は九州大学と共同研究を始めました。
そして、1993年にセサミンのサプリメント第一号がサントリーから発売されます。
これはセサミンの研究が始まってから10年後のことでした。
このように、セサミンの発見から、サプリメントの開発まで日本がリードしてきたのですが、現在もセサミンに関する論文の発表数は日本がトップクラスです。
しかし、セサミンが日本でしか注目されていないというわけではなく、セサミンに関する医学調査は台湾や韓国、タイなどのアジア諸国さらにはオーストラリアやイランなど世界中で行われています。
セサミンの研究が始まった当初、九州大学の菅野名誉教授はセサミンの効能を称賛して「自然からの贈り物」と呼びました。
セサミンの効能が世界中の人々の役に立つ日もそう遠くないのかもしれません。
まとめ
ゴマの栄養素セサミン〝sesamin"の名前の意味は、ゴマ〝sesame"から来ています。
この名称からも分かる通り、セサミンとゴマは切っても切れない関係で、私たちが普段食用とするものの中では、ゴマにしかセサミンは含まれていません。
化学物質は発見されると、IUPAC命名法というルールに従って名づけられるのですが、その名前では長すぎる上に分かりにくいので、セサミンという言わば「あだ名」の方がより知られているのです。
セサミンには他にも〝Fagarol"や〝Asarinin"といった別名がありますが、「セサミン」という名称があまりにも普及しているので、私たちが目にすることはまずありません。
セサミンは発見から現在まで日本がリードしてきました。
しかし、セサミンの効能に関する研究は、世界中の国で行われるようになってきています。
