五大栄養素とセサミン
ガン予防やうつ病改善などに効果があるとして、脚光を浴びているセサミンは、ゴマ由来の栄養素です。セサミンはタンパク質やビタミン、ミネラルなどの分類ではどれに当たるのでしょうか?セサミンと五大栄養素の関係についてご紹介します。
五大栄養素とは
私たちが食物から得る主な栄養素は、その性質や働きから「タンパク質」「脂質」「炭水化物」「無機質」「ビタミン」に分けることができます。これらの5種類の栄養素のことを五大栄養素と言います。
タンパク質は、筋肉や皮膚、骨格といった身体の基本材料となります。
脂質は、細胞表面の膜などの形で人体を構成する他、人体を動かすエネルギーの源となります。
炭水化物は身体、特に脳を動かすエネルギーを生み出します。
無機質は、炭素・水素・窒素・酸素以外の必須元素(生きる上で必要な元素)のことで、別名ミネラルとも言います。亜鉛・カリウム・カルシウム・鉄・銅・ナトリウム・マグネシウムなどが代表的な無機質です。無機質は、身体の材料や調子を整える働きがあります。
ビタミンは、人体を有害物質や病原菌から守ったり、炭水化物や脂質を分解してエネルギーを作り出したり、組織や器官の機能を調節したりするのに必要な微量の栄養素です。13種類あるビタミンのうち、特に人体と深い関わりがあるものとして、ビタミンA・ビタミンB1・ビタミンB2・ビタミンC・ビタミンD・ビタミンEなどがあります。
セサミンは何に分類される?
セサミンは五大栄養素の中のどれに分類されるのでしょうか?結論から言うと、実はセサミンは五大栄養素のどれにも分類されません。セサミンいう物質そのものを詳しく見ていきましょう。
セサミンは、脂溶性(油に溶けやすく、水に溶けにくい)の化合物であり、化学的には「リグナン」、より大きなくくりとしては「ポリフェノール」に分類されます。ポリフェノールは、フェノール性ヒドロキシ基という構造を複数持つ、植物成分のことであり、リグナンはポリフェノール中の一分類です。
ゴマやゴマ油には、セサミン以外にもセサミノール、セサモリン、セサモールなどのリグナン類が含まれており、これらを総称して「ゴマリグナン」と呼びます。
ネット上では、「セサミンとポリフェノールの違い」や「普通のセサミンサプリメントにはゴマリグナンが含まれていない」などといった記述の記事がしばしば見うけられますが、セサミン自体がポリフェノールやゴマリグナンの一員であることを踏まえて考えると、誤った記述であることが分かりますね。
セサミンには様々な効能がありますが、五大栄養素のように「人が生きる上で必須の栄養素」というわけではありません。そのため、セサミンは五大栄養素には入っていないのです。しかし、セサミンの効能が健康的な生活の役に立つことは間違いありません。
余談ですが、セサミンを含むポリフェノール類は、女性ホルモン・エストロゲンと似た構造をしており、人体では同じような働きをすることから、「植物エストロゲン」と呼ばれることもあります。
また、セサミンなどのポリフェノール類や、ルテインなどのテルペノイド類といった「身体機能の維持に必須ではないが、健康に良い影響を与えると考えられる植物由来の栄養素」のことをファイトケミカル(フィトケミカル)と呼びます。
セサミンと他の栄養素との関わり
セサミンは五大栄養素ではありませんでしたが、セサミンと、五大栄養素とはどういった関係があるのでしょうか。それぞれについて見てみましょう。
タンパク質は、アミノ酸から構成されており、アミノ酸の中には、人体に必要不可欠であるにもかかわらず、人体で作り出すことができない必須アミノ酸があります。セサミンには、肝臓のタンパク質の代謝を向上させる働きがありますので、ローヤルゼリーや黒酢といったアミノ酸を豊富に含む栄養素材と、セサミンがミックスされたサプリメントを飲むことで、肌のしわやたるみの予防・改善といった効能を倍増させることができるでしょう。
脂質の代謝も、セサミンは改善します。血液中の余分な中性脂肪やLDLコレステロールを減らしてくれるので、動脈硬化や肥満の予防に効果を発揮します。また、脳細胞の材料となる脂質の一種DHA(ドコサヘキサエン酸)には、学習機能の向上以外にも、制ガン作用や血圧降下などの効能があり、セサミンサプリメントに配合されることが多い栄養素の一つです。
炭水化物の代謝にもセサミンは関わっています。食事によって体内に入った炭水化物は、身体を動かす直接的なエネルギー源となる以外には、グリコーゲンとして肝臓に貯蔵されたり、脂肪に変換されたりします。そのため、炭水化物は肥満の原因になるということで、炭水化物を減らす「糖質ダイエット」なんかも人気がありますよね。上でも述べたように、セサミンは肥満を予防してくれますから、炭水化物の摂りすぎが気になる人にもおすすめです。
無機質の中でも、不足しがちなカルシウムや亜鉛は、セサミンのサプリメントにミックスされることもしばしばあります。カルシウムは骨粗しょう症の予防に、亜鉛は育毛に効果があるとされていますが、セサミンにも、それらのミネラルとは違ったアプローチから、同様の効能がありますので、共に摂ることで、これらのミネラルを単体で摂る時よりも、効果を期待することができます。
ビタミンは、セサミンサプリメントに最もミックスされることが多い栄養素です。ビタミンCやビタミンEなどは、セサミンと同じく抗酸化作用を持っており、共に摂ることで相乗効果を期待することができます。
以上のように、セサミンは五大栄養素ではありませんが、五大栄養素の働きを高め、より健康な身体にする効果がある栄養素なのです。
まとめ
五大栄養素とは、タンパク質、脂質、炭水化物、無機質(ミネラル)、ビタミン、という人体に無くてはならない5種類の栄養素のことです。ゴマ由来の栄養素として人気があるセサミンには数多くの効能がありますが、人が生きていくために必須というわけではないため、五大栄養素ではありません。
セサミンは、植物成分ポリフェノールの一種、リグナンに分類されます。セサミンを含むポリフェノール類は、植物エストロゲンやファイトケミカル(フィトケミカル)と呼ばれることもあります。
セサミンは、肝機能を向上させることで、タンパク質の代謝を活発にし、余分な脂質や炭水化物による動脈硬化や肥満を予防します。また、無機質やビタミンの中には、セサミンと同様の効能を持つものもあり、それらと共にセサミンを摂ることで、相乗効果を期待することもできます。
セサミンは、生きていくために最低限必要というわけではないので、五大栄養素ではありませんが、五大栄養素の働きを高め、健康な身体にする効果のある栄養素なのです。