胃腸で分解されないセサミン

抗酸化作用や肝臓機能の向上など様々な効能を持つ栄養素セサミンには、胃腸で分解されないという性質があります。この性質によってセサミンの働きは他の栄養素と異なるものとなっています。セサミンの吸収について見てみましょう。

セサミンは水に溶けない

栄養素を大別すると、水に溶けやすく油脂に溶けにくい「水溶性」、油脂に溶けやすく水に溶けにくい「脂溶性」の2グループに分けることが出来ます。水溶性の栄養素は水に溶けやすいため、汗や尿と一緒に体外に排出されやすい一方で、脂溶性の栄養素は比較的体内に留まる傾向があります。身近な栄養素ではビタミンCやビタミンBなどが水溶性、ビタミンE、ビタミンKなどが脂溶性の栄養素です。

セサミンは水に溶けにくいため、脂溶性の栄養素に分類されます。

セサミンは胃腸では吸収されない

水溶性の栄養素の大半は胃や腸で吸収されます。その後、門脈を通して肝臓に蓄えられるか、血液を通して身体の特定の場所で働いたり蓄えられたりします。

一方、セサミンは水に溶けにくいので胃や腸では吸収されず、肝臓の門脈を通して吸収されます。セサミン以外の脂溶性の栄養素については、水溶性の栄養素とは異なる方法で腸から吸収されるしくみがあります。

セサミンは肝臓を中心に働く

セサミンは門脈で吸収された後、肝臓を中心に働きます。。肝臓で発生した活性酸素が中性脂肪やコレステロールを酸化するのを防いだり、ダメージを受けて脂肪肝になった部分を改善したりします。これらはセサミンの抗酸化作用による働きですが、それ以外にもアルコールや脂肪を分解する酵素に働きかけて、その活動を活発化させることで肝臓の機能を向上させます。

セサミンの持つがん予防効果も、主に肝臓がんに対するものです。

セサミンが肝臓で吸収されるメリットは?

セサミンは水に溶けにくい、脂溶性の栄養素であるため、門脈から吸収されて肝臓で主に活動するのでした。このメリットは何でしょうか?

セサミンと同じく抗酸化作用を持つ栄養素に、ビタミンCやアントシアニンなどがありますが、これらの栄養素は水に溶けやすいため、血液を通して全身を巡り、身体の各部分で効果を発揮します。

これに対してセサミンは肝臓を主な拠点に活動するのですが、そのメリットとして以下のようなことが考えられます。

・肝臓にダイレクトに必要な量が到達しやすい
・肝臓から全身に運ばれる中性脂肪・コレステロールに作用することが出来る
・活性酸素の一番の発生源である肝臓に作用することで、効率的に活性酸素を除去出来る

人体で発生する活性酸素の大半は肝臓で発生しますから、肝臓に強力に働きかける抗酸化物質としてセサミンは最適です。血液に乗って全身をめぐる活性酸素を除去することも大切ですが、発生源である肝臓で抗酸化物質として働くことで、より効率的に活性酸素を除去することができます。
セサミンが肝臓がんや脂肪肝に対して非常に有効なのはこのためです。

また、セサミンは肝臓の脂肪分解能力を向上させたり、動脈硬化の元となるコレステロールの酸化を肝臓で抑えたりする効果があります。全身の脂肪をコントロールする器官である肝臓で働くことによって、全身の脂肪にまつわる問題に効果を発揮出来るのです。

これらのことを考えるとセサミンの効能は、胃腸で吸収されず、肝臓で取り込まれるという性質と切っても切れないものであることが分かります。
500以上の働きを担う肝臓で作用することで、様々な効果をもたらしてくれるのです。

まとめ

ゴマ由来の栄養素セサミンには、水に溶けにくいという性質があります。この性質によってセサミンは胃腸では吸収されず、肝臓の門脈で吸収されて、全身の脂肪をコントロールする器官である肝臓をメインの舞台として働きます。人体で発生する活性酸素の大半は肝臓で発生しますから、強い抗酸化作用を持ち、肝臓に直接取り込まれるセサミンはうってつけの栄養素です。 それだけでなく、肝臓から全身に送られる中性脂肪・コレステロールの酸化を防げるのも、セサミンが肝臓で働くからです。セサミンの、胃腸で吸収されないという性質はセサミンの効能のためには無くてはならない性質だったのです。

関連コラムcolumn