アセトアルデヒドへのセサミンの働きかけ
ゴマの栄養素セサミンは、肝臓の代謝機能向上やガン予防、うつ病予防など様々な効能で人気がある栄養素です。セサミンには、肝臓のアルコール分解を促進させ、二日酔いになりにくくする働きもあるのですが、これはセサミンがアセトアルデヒドという物質に作用することによって起こるものです。セサミンとアセトアルデヒドの関係について見ていきましょう。
アセトアルデヒドとは
お酒に含まれるエタノールが酸化されて発生する物質がアセトアルデヒドです。人体では、お酒を飲んだ後に、肝臓でアルコール(エタノール)が分解される際に発生し、やがてアセトアルデヒド脱水素酵素によって、人体に無害な酢酸に分解されます。
アルコールを分解することで発生したアセトアルデヒドには発ガン性があり、アセトアルデヒドの分解が上手く行われない場合、ガンを発症するリスクが増加するということが、研究で明らかになっています。
またアセトアルデヒドは、依存性を強めるための添加物としてタバコにも含まれています。
悪酔い・二日酔いのメカニズム
上でも述べたように、お酒を飲むとお酒の中に含まれているエタノールが、アルコール脱水素酵素によって酸化されて、アセトアルデヒドになります。そして、アセトアルデヒドがアセトアルデヒド脱水素酵素によって酢酸になることでアルコールの分解は完了します。
体内のアセトアルデヒドの代謝には個人差があり、アセトアルデヒドを分解する働きが弱い人ほど悪酔いや二日酔いになりやすくなります。
また、お酒を飲んだ後特有の口臭や体臭は、アセトアルデヒドに由来するものです。
セサミンのアセトアルデヒドへの働き
数多くあるセサミンの効能の一つに、「肝機能を向上させる」というものがあります。肝臓は、食事で摂ったタンパク質や脂質、炭水化物などの栄養素を分解して、人体に必要な物質を合成させる働き(代謝)の他にも、アルコールなどの毒物を分解する働きも持っています。セサミンは、こういった肝臓の働きの中心となる酵素の働きを活発にしてくれるため、肝臓の機能が向上するのです。
アセトアルデヒドの場合は、セサミンがアセトアルデヒド脱水素酵素の働きを活発化させることで、アセトアルデヒドの分解が早まり、悪酔いや二日酔いになりにくくしてくれるのです。
セサミンの働きを強めるためには
セサミンのアセトアルデヒドに対する働きによって、悪酔い・二日酔いを防ぐことができるのですが、この働きを強める方法というのはあるのでしょうか?
高濃度のサプリメントを選ぶ
栄養素の中には摂取量の上限値が厳密に定められていて、その値以上に摂取するとかえって人体に害を及ぼすものも少なくありませんが、セサミンの場合は、様々な研究機関によって、多量に摂取しても健康被害がないと判明しています。そのため、セサミンがアセトアルデヒドを分解する働きを強めるために、より高濃度のセサミンサプリメントを選ぶというのもおすすめです。一般的なセサミンサプリメントは、1日当たりの用量に約10mgのセサミンを配合している製品がほとんどですが、中には40mgものセサミンを配合した製品もありますので、ぜひ探してみてください。
アルコールに効果がある栄養素も同時に摂る
市販のセサミンサプリメントの大半は、セサミンだけではなく他の栄養素がミックスされています。サプリメントを選ぶ際に、セサミンと同様に、アルコールの分解を助け、悪酔いや二日酔いを防ぐ栄養素を選ぶことで、セサミンとの相乗効果を期待することができます。アルコールに対して効能がある栄養素には、次のようなものがあります。
・アラニン・・・アルコールの分解を活発にし、オルニチンも活性化します
・オルニチン・・・二日酔いの疲労を改善する他、肝臓も保護してくれます
・タウリン・・・アルコールによってダメージを受けた肝臓を回復させます
・L-システイン・・・アセトアルデヒドの分解を早めてくれます
・クルクミン・・・肝臓の代謝機能を活発にするほか、アルコール由来の疾病を防ぐなど多くの効能があります
・スルフォラファン・・・アセトアルデヒドの分解を促進し、肝臓を保護してくれます
悪酔い・二日酔い対策でセサミンを摂る際の注意点
悪酔い・二日酔い対策でセサミンを摂る場合、注意するべきことはあるのでしょうか?
活性酸素の原因となるもの・習慣を避ける
セサミンは抗酸化作用という性質を持っています。私たちが生きる上で必要な酸素が、体内でふとしたことから変化し、有害物質となったものが活性酸素です。活性酸素は周囲の細胞や組織を傷つけ、ガンや老化の原因となるのですが、この活性酸素と反応して除去する働きが、抗酸化作用なのです。
セサミンは肝臓で吸収され、そのほとんどが肝臓に留まって働きますが、肝臓では人体で発生する活性酸素の約8割が発生するため、セサミンのほとんどは、活性酸素の除去に使われます。肝臓で発生する活性酸素は、肝臓がんの原因となるため、そのこと自体に問題はないのですが、活性酸素の量があまりに多いと、摂取したセサミンの大半が活性酸素の除去で消費されてしまい、アルコールの分解のために働く分が少なくなってしまいます。そのため、以下のような活性酸素を増やすもの・習慣を避けるようにしましょう。
・紫外線
・タバコ
・多量のアルコール
・過度の食品添加物
・化学薬品
・激しい運動
・強いストレス
アルコールを飲み過ぎないようにする
アセトアルデヒドはエタノールの分解によって発生するものですから、アルコールを飲み過ぎると、セサミンがいくらアルコールの分解を活発化させたところで、分解しきれないアセトアルデヒドが溜まっていき、悪酔いや二日酔いとなってしまいます。セサミンの力を借りる前に、まずは自分で酒量をセーブするようにしましょう。アルコールは脂肪肝や動脈硬化、メタボリックシンドロームなどにも大きく影響しますから、酒量をセーブするに越したことはありません。
まとめ
お酒を飲んだ後、お酒に含まれているエタノールは分解されてアセトアルデヒドになります。このアセトアルデヒドには毒性があり、悪酔いや二日酔いだけでなく、ガンの原因にもなります。
セサミンは、アセトアルデヒドを分解するアセトアルデヒド脱水素酵素の働きをサポートして、肝臓がアセトアルデヒドを分解する働きを高めてくれます。そのため、アセトアルデヒドが分解されるのが早くなり、悪酔いや二日酔いになりにくくなります。
アセトアルデヒドに対するセサミンの働きを高めるには、高濃度のセサミンサプリメントを利用する、オルニチンやタウリンといったアルコールに効果のある栄養素も同時に摂るといった方法があります。
また、セサミンを摂る際の注意点として、活性酸素が発生するもの・生活習慣を避ける、アルコールを飲み過ぎないようにするといったことが挙げられます。