セサミンと女性ホルモン
ゴマに含まれるセサミンは、ガン予防やシミ・しわ予防、肝機能の活発化など様々な効能を持つ栄養素です。あまり知られていませんが、このセサミンには、女性ホルモンの減少によって起こる各種の婦人病に対する効果もあるのです。今回は、セサミンと女性ホルモンの関係についてご紹介します。
女性ホルモン・エストロゲンと更年期障害
女性ホルモンは、女性の性に関する働きを司るホルモンで、エストロゲン(卵胞ホルモン)とゲスターゲン(黄体ホルモン)の2種類がありますが、一般的には、女性らしい体つきなどに大きく影響するエストロゲンを指すことが多いです。
エストロゲンの主な役割は、乳腺の発達、卵巣の排卵制御ですが、このような性機能に関するもの以外にも、脂質代謝の制御やインスリンの分泌、血液の凝固、LDLコレステロールの減少など、人体の様々な機能を司っています。
女性にとって、性機能以外の面でも欠かせない役割を果たしているエストロゲンですが、50歳前後で閉経した後は、分泌量が低下してしまい、身体に不調をきたす場合があります。この不調がいわゆる「更年期障害」です。更年期障害と診断される人は、更年期女性の2~3割ほどであり、その症状は次のようなものです。
・自律神経に関するもの・・・動悸・息切れ・頻脈・ほてり・のぼせ・耳鳴り・疲労感・知覚過敏・腹痛・腰痛・生理不順など
・消化器に関するもの・・・悪心(吐き気)・嘔吐・便秘・下痢など
・精神状態に関するもの・・・怒りっぽくなる(易怒性)・抑うつ・頭痛・不眠・めまいなど
・四肢・運動器に関するもの・・・肩こり・関節痛など
更年期障害の症状は、不定愁訴(原因不明の体調不良)と呼ばれるものが多く、訴えの内容が主観的で、客観的な所見が乏しい上に、症状が長続きしないことが特徴です。更年期障害の治療には、女性ホルモンを補充するホルモン補充療法(HRT)や漢方薬を用いる療法、抗うつ薬・抗不安薬などが用いられます。
セサミンとエストロゲンが似ている?
植物の中には、「植物エストロゲン」というエストロゲンに非常によく似た構造の化学物質を持つものがあります。植物エストロゲンは、エストロゲンに似た構造をしているため、エストロゲンと同じような役割をしてくれます。
植物エストロゲンは200種類以上もあり、セサミンを始めとするゴマ固有の栄養素(ゴマリグナン)も植物エストロゲンに分類されています。他に植物エストロゲンとして有名な栄養素には、イソフラボンなどのフラボノイド類やクメストロールなどがあります。
セサミンがエストロゲンの代わりをする
セサミンはエストロゲンと似た構造をしていることで、エストロゲンが減少して、満足に機能していなかったエストロゲンの働きを代わりにしてくれます。セサミンがエストロゲンの代わりをすることで期待できる効能には次のようなものがあります。
・ほてり・のぼせの解消
・疲労感の解消
・生理不順の解消
・便秘・下痢の改善
・怒りっぽさや抑うつの改善(精神的な不安定さを抑える)
・不眠症の改善
これらの他にも、全身の血行を良くしたり、腹痛や関節痛を軽減したりするなど、身体の様々な問題を解消してくれます。
セサミンの効果を高めるには
セサミンが女性ホルモン・エストロゲンの代わりに働いてくれる効果を、さらに高めるにはどのようにすればよいのでしょうか。
まず挙げられるのが「活性酸素を発生させる習慣を避ける」ということです。セサミンがエストロゲンの代わりをするというのは、セサミンの抗酸化作用(有害な活性酸素を除去する働き)と関係のない話ですが、セサミンの持つ効能の大部分(ガン予防、シミ・しわの改善、うつ病予防など)は、抗酸化作用に基づくものです。セサミンは活性酸素と反応することで、これを除去しますので、活性酸素を除去するたびにセサミンは消費されることになります。肝臓の門脈で吸収されたセサミンは、肝臓から血管を通して全身に行き渡りますが、この過程で遭遇する活性酸素を次々に除去していき、減っていきます。活性酸素はガンや老化の原因にもなる有害な物質ですから、セサミンが活性酸素を除去してくれることに何の問題もありません。しかし、その分、エストロゲンの代わりに働いてくれるセサミンの量が減ってしまうことになります。そのため、なるべく活性酸素が発生しにくい生活習慣にする必要があるのです。
活性酸素を発生させるもの・習慣には次のようなものがあります。
・紫外線
・タバコ
・過度のアルコール
・強いストレス
・化学薬品
・過度の食品添加物
・高カロリー・高脂質の食生活
これらの項目を避けることで、活性酸素の発生量を減らし、セサミンが効率よく、エストロゲンの代わりを務められるようにするのです。
また、サプリメントでセサミンを摂取する場合には、食後すぐに飲むよりも、就寝前などに飲んだ方が、エストロゲンをサポートする効果が高くなります。食後すぐにサプリメントを飲んでしまうと、食後に肝臓で大量に発生する活性酸素の除去にセサミンが使われてしまいますので、エストロゲンのサポートに十分な量のセサミンが充てられません。エストロゲンのサポートを期待するならば、食間や就寝前など、食後の活性酸素の発生が収まった時間に飲むのがベストなのです。
まとめ
ゴマの栄養素セサミンは、女性ホルモンであるエストロゲンと構造が非常に似ているため、人体でエストロゲンのような働きをします。エストロゲンの主な役割は、性機能に関するものですが、それ以外にも代謝活動や自律神経の調節など全身の様々な活動に関与しています。そのため、閉経以降、エストロゲンの分泌が減少し、身体に不調をきたすのが、更年期障害です。
セサミンはエストロゲンと同じ働きをするため、体内で減少したエストロゲンの働きを補ってくれます。つまり、セサミンを摂ることで、更年期障害の諸症状を改善することができるのです。
セサミンの、エストロゲンをサポートする効果をより強めるには、活性酸素の発生量を減らす必要があります。セサミンには、エストロゲンをサポートする働きの他に、活性酸素を除去する働き(抗酸化作用)があるため、体内に活性酸素が多いと、活性酸素の除去にセサミンの大半が使われてしまい、エストロゲンのサポートに十分な量のセサミンが使われなくなってしまうからです。活性酸素の発生を防ぐために、タバコや紫外線、過度のアルコールなどを避けるようにしましょう。
また、活性酸素は食後に多く発生するため、食間や就寝前など、食後の消化とタイミングをずらしてセサミンを摂ることで、飲んだ分のセサミンを有効に、エストロゲンのサポートに充てることができます。