気になるセサミンの脂質成分
ゴマに含まれるセサミンは、肝機能の向上やガン予防、うつ病予防など様々な効能を持つ栄養素として人気があります。セサミンを摂取するにあたって気になるのが脂質の問題です。セサミンの摂取方法と脂質成分の関係についてご紹介します。
セサミンには脂質は含まれていない
実はセサミンには脂質は含まれておりません。セサミンは栄養学的には、ポリフェノールの一種ゴマリグナン類に分類されます。ポリフェノールは五大栄養素(人体に必須の栄養素;タンパク質・炭水化物・脂質・ビタミン・ミネラル)ではなく、構造の中に脂質も含んではいません。そのため、セサミン自体を摂る場合には、脂質のことを考える必要はないのです。
セサミンの摂取方法と脂質成分
セサミン自体には脂質は含まれていないのですが、セサミンが含まれている食品には脂質が含まれていることがあります。セサミンを含む代表的な食品やサプリメントについて見てみましょう。
ゴマの場合
セサミンはゴマの他にもイチョウやソテツなどに含まれていますが、私たちが食べる農作物の中では、ゴマにしかセサミンは含まれておりません。セサミンは、一般的にはゴマの重さの約0.5~0.7%しか含まれていないのに対して、ゴマの重さの約50%を占めているのが脂質であり、ゴマは肉や魚より高カロリー・高脂質な食品なのです。
市販されている平均的なゴマのカロリーは、9g(大さじ1杯)で約52kcalです。サプリメントメーカー各社の推奨摂取量である1日10mgのセサミンを摂るために必要なゴマの量(1.4~2g)では、カロリーは約8.1~11.5kcalとなっています。
ゴマが高カロリー・高脂質の食品とは言っても、使用量が少ないのでそこまでカロリーを気にする必要はないのですね。
ゴマ油の場合
ゴマから採れるゴマ油にもセサミンは含まれており、ゴマの場合と同様に、重さの0.5%程度をセサミンが占めています。そのため、10mgのセサミンを摂るために必要なゴマ油の量は、約2gとなります。この分量のゴマ油のカロリーは、18.4kcalであり、同量のゴマよりも高カロリーです。
ゴマ油は油脂そのものですから、ゴマよりも高カロリー・高脂質です。そのため、セサミンが含まれているからと言って、多く摂りすぎると、健康を害してしまいます。
日本人の平均的な食用油の消費量は1年間で1000gのボトルで3.44本であり、この数字をもとに考えると、私たちは1日当たり9.42gの食用油を使用していることになります。毎日使用しているサラダ油や揚げ物の油をゴマ油にするだけで、簡単にセサミン10mgを摂ることができますから、脂質全体の摂りすぎには注意しつつ、食用油の一部をゴマ油にするのが効果的な取り組みと言えるでしょう。
サプリメントの場合
調理の手間もいらず、脂質やカロリーを気にする必要もない摂取方法としてサプリメントは人気があります。サプリメントは、セサミンだけを抽出して作られているはずですが、思わぬところに脂質が存在しているのです。
セサミンサプリメントの中で脂質が入っているケースには次の2通りが考えられます。
・脂質の栄養素が、サプリメントにミックスされている
・サプリメントの添加物として脂質が使われている
セサミンとミックスされることが多い栄養素のうち、脂質に分類される栄養素にはDHAやEPAなどがあります。これらは脂質とは言っても人体に必須の脂質である上に、血中の脂質濃度を下げて、動脈硬化や肥満のリスクを低下させる栄養素ですから、サプリメントの一栄養素としてセサミンと共に摂る分には、問題ありません。むしろ、不足しがちなこれらの脂質をサプリメントで摂る分、食生活の脂質やカロリーに気をつけるべきです。
また、セサミンに限らず、サプリメントに含まれる栄養素は微量ですから、飲みやすいように、増量剤や充填剤といった添加物が加えられています。これらの添加物には粉末成分以外にも、オリーブ油やグリセリンが用いられることが多いです。セサミンを摂るためにサプリメントを摂るのに、脂質まで摂ってしまっては意味がないと思う方もいるかもしれませんが、セサミンは脂溶性(水に溶けにくく油に溶けやすい)の栄養素であるため、サプリメントにある程度の脂質が含まれているのは理にかなったことなのです。こちらに関しても、添加物として含まれている少量の脂質よりも、食生活全体の脂質・カロリーバランスに注意を向けるべきでしょう。
脂質を気にせずにセサミンを摂るには
これまで見てきたように、ゴマやゴマ油でセサミンを摂る場合は、脂質も同時に摂ることになりますが、セサミンの1日当たりの摂取目安量とされている10mgを摂るために必要なゴマやゴマ油の量では、カロリーは高くてもせいぜい20kcal程度です。私たちが生きていくうえで必要な熱量のうち、20~30%を脂質で占めるのが良いとされていますが、それは250~500kcalに相当します。この数字に比べると、セサミンをゴマやゴマ油で摂ることに伴うカロリーは、小さなものであると言えるでしょう。サプリメントで摂ることに伴うカロリーはさらに小さなものとなります。
このように、セサミンの摂取に伴う脂質やカロリーは食生活全体に占める脂質やカロリーからすると小さな割合です。そのため、セサミンの摂取に伴う脂質やカロリーを気にするあまり、セサミンの摂取をためらうのはあまり賢明ではありません。セサミンを摂取しつつ、食生活全体の脂質・カロリーに注意するようにしましょう。
まとめ
セサミンは栄養学的にはポリフェノールに分類され、脂質とは全く別の栄養素とされています。そのため、セサミン自体に脂質は含まれていないのですが、セサミンの摂取方法であるゴマやゴマ油、サプリメントには少なからず脂質が含まれているため、セサミンを摂る際には脂質も摂取することになります。
ゴマやゴマ油では重さの半分から大半を脂質が占めており、肉や魚よりも高脂質・高カロリーの食品です。しかし、摂取推奨量である10mg分のセサミンを摂るのに必要なゴマやゴマ油の量では、カロリーはそこまで高くありません。
また、サプリメントの場合も、セサミン以外の栄養素として脂質が含まれていたり、添加物として脂質が含まれていたりします。いずれにせよ、含まれている脂質の量は少ないですから、カロリー的にも影響は小さいと言えます。
このようにセサミン摂取に伴う脂質やカロリーが、私たちの食生活全体に占める割合は小さなものです。そのため、食生活全体の脂質やカロリーバランスを考慮する必要があります。