セサミンはゴマから取れる希少成分
ゴマの栄養素セサミンは、肝機能の向上や老化防止、うつ病や更年期障害の予防など多くの効能を持つことから、最も人気がある栄養素の一つです。
このセサミンですが、ゴマにごく僅かしか含まれていない希少な成分であることをご存知でしたか?セサミンなど、ゴマに含まれる希少な成分をご紹介します。
セサミンとは
セサミンは、ゴマに含まれるポリフェノール(抗酸化作用を持つ植物性の栄養素)の一種です。
私たちが普段口にする食材の中では、ゴマにしか含まれていません。
このセサミンは胃腸では吸収されずに、肝臓の門脈で吸収され、吸収されたセサミンの大半はそのまま肝臓で働きます。
セサミンの効能を語る上で欠かせないのが「抗酸化作用」です。
抗酸化作用とは、体内の有害な活性酸素(酸素の一部が変化したもので、周囲の細胞や組織を傷つけ、ガンや老化の原因となる)と反応して、これを除去する働きのことです。
身近な栄養素では、ビタミンCやビタミンE、カテキンなども抗酸化作用を持っています。
セサミンの効能の中で、抗酸化作用に由来するものは、代表的なものだけでも次のようなものが挙げられます。
- ・しみ・しわ・たるみなどの肌の老化の予防・改善
- ・白髪・脱毛・薄毛などの髪のトラブルの予防・改善
- ・活性酸素が原因のうつ病・自律神経の乱れの予防・改善
- ・アテローム性動脈硬化の予防
- ・脂肪肝の予防・改善
また、セサミンには抗酸化作用以外にも重要な効能が数多くあります。
- ・肝臓の代謝機能の活発化
- ・アルコールの分解を早める
- ・女性ホルモン・エストロゲンのサポート
- ・血中の脂質濃度の低下
- ・ビタミンEの節約
このようにセサミンは、サプリメントとして販売されている栄養素の中でもトップクラスの効能の多さを誇ります。
ゴマに含まれるセサミンの割合
ゴマに含まれるセサミンの量は品種によって大きく異なります。
アメリカで行われた調査によると、ゴマ1gあたりのセサミンの含有量は0.67~6.35 mgとなっていますから、品種によってセサミンの含有量に大きな幅があることが分かりますね。
「セサミンはゴマに約0.1%程度しか含まれていない」と紹介されるのも頷けます。
健康食品の宣伝で、「セサミン濃度が他のゴマよりも高い黒ゴマ」「黒ゴマ由来の黒セサミンは効果が高い」などといった文句をよく目にすることがありますが、これは間違いです。
セサミンの量はゴマの品種によって決まるのであって、ゴマの殻の色では決まりません。
そのため、白ゴマ・金ゴマに比べてセサミンを多く含んだ黒ゴマの品種があれば、より少ないセサミンしか含んでいない黒ゴマの品種もあるのです。
また、ゴマが含んでいるセサミンの量に違いはあっても、含まれているセサミンの質に差はありません。
栄養素のレベルまでミクロな話になると、原料はもはや関係ないのです。
1日あたりに必要なタンパク質を牛肉をメインとして摂ろうが、豚肉や鶏肉、大豆といった他のタンパク源で摂ろうがそう変わりが無いことと一緒ですね。
ゴマに含まれるセサミン以外の希少成分
ゴマにはセサミン以外にも希少な成分がいくつか含まれていて、これらを総称してゴマリグナンと呼びます。
セサミン以外のゴマリグナンも抗酸化作用などの効能を持っていることから研究対象となっています。
セサモリン
セサモリンはセサミンと共にゴマに多く含まれているゴマリグナンです。
ゴマリグナンと名前がついていても、セサミノールやセサモール、エピセサミンは、ゴマの時点ではほとんど含まれていません。
そのため、ゴマの時点で存在するゴマリグナンは主にセサミンとセサモリンの2つだけなのです。
セサモリンはゴマ1gあたりに1.3~5.23mg含まれているのですが、ゴマ油やゴマサラダ油を製造する過程で、セサミノールやセサモールといった他のゴマリグナンに変わってしまいます。
そのため、セサモリンはゴマにしか含まれていません。
このセサモリンには、体内への吸収率や貯蔵率、脂質代謝の活性化などの点において、セサミン以上に優れているという報告があります。
このようにセサモリンは非常に魅力的な栄養素なのですが、サプリメントとしては製品化されていません。
ですので、セサモリンを摂りたいという方は、ゴマを食べるようにしましょう。
セサミノール
セサミノールは、ゴマサラダ油(白色透明・無臭のゴマ油、太白ゴマ油とも言う)に多く含まれるゴマリグナンで、先ほどご紹介したセサモリンが変化したものです。
ゴマの時点ではゴマ1g中に0.003~0.014mgしか含まれていないのですが(セサミノール配糖体という形で大量に含まれています)、ゴマサラダ油では、ぐっと増えて1g中に0.6~1.4mgも含まれています。
セサミノールもセサミンと同様に抗酸化作用を持ち、動脈硬化を抑制する効果があります。
セサモール
セサモールは、茶褐色のゴマ油に多く含まれるゴマリグナンで、これもセサモリンが製造過程で変化したものです。
セサモールの場合、セサミノールよりは少し多くゴマに含まれており、ゴマ1gあたり0.02~0.108mgとなっています。
セサモールも抗酸化作用を持っており、ゴマ油が他の油に比べて酸化しにくく、消費期限が長いのはセサモールによるところが大きいです。
エピセサミン
エピセサミンは、セサミンの構造の一部分が変化したもの(立体異性体)で、ゴマ油を精製する際に、セサミンの半数がエピセサミンとなります。
エピセサミンもセサモリンと同じく、脂質代謝の活性化や吸収率において、セサミンよりも優れています。
エピセサミンのサプリメントは販売されていませんが、実は市販のセサミンサプリメントの「セサミン」の半分はエピセサミンなので、セサミンをサプリメントで摂る際に、知らず知らずのうちにエピセサミンも摂っているのです。
また、先ほど挙げた研究報告からも分かるように、市販のセサミンサプリメントの効能の中には、セサミンよりもエピセサミンの方がより強く作用しているものもあるのです。
セサミンをより効率良く摂るには
これまで見てきたように、ゴマにはセサミンを始めとする希少な成分が多く含まれています。
では、セサミンや他のゴマリグナンを効率良く摂るにはどうすれば良いのでしょうか?
ゴマはすり潰す
ゴマの時点で含まれているゴマリグナンは、主にセサミンとエピセサミンの2種類です。
これらはゴマの殻で覆われた内側の部分に含まれているため、殻がついた「炒りゴマ」のままでは十分に吸収することができません。
ですので、ゴマを調理する際には、必ず「すりゴマ」や「練りゴマ」に加工して用いるようにしましょう。
油はゴマ由来のものを利用する
茶褐色のゴマ油にはセサミンとセサモール、エピセサミンが、白色透明のゴマサラダ油にはセサミンとセサミノール、エピセサミンが主に含まれています。
日々の料理に用いる油をこれらのゴマを原料とした油に代えるだけで、簡単にゴマリグナンを摂ることができます。
実は、市販のセサミンサプリメントに含まれているセサミンの量(一般的に10mg)でしたら、ゴマ油1gで摂ることができてしまいます。
日常的に料理をする人にとっては、調理にゴマ油を用いるだけで十分にセサミンを摂れるということですね。
ゴマ油が苦手な人や、特有の風味は料理の種類が限られると思う人もいるかもしれません。
しかし無臭のゴマサラダ油(太白ゴマ油とも)であれば一般的なサラダ油と変わりませんので、ゴマ油の風味が苦手な人も抵抗なく用いることができます。
忙しい人はサプリメントを活用
ゴマやゴマ油でも十分にセサミンやゴマリグナンを摂ることができるのですが、料理が苦手な人や忙しすぎて料理をする時間がないという人もいるでしょう。
そういう人は、サプリメントで手軽かつ確実にセサミンを摂るようにしましょう。
市販のサプリメントのほとんどは、1日分の用量で10mg以上のセサミンが摂れるようになっています。
また、多くの製品にはセサミンだけでなく、他の栄養素もミックスされていますから、それらも同時に摂れることは大きなメリットです。
ただ、サプリメントの場合、簡単にセサミンが摂れて便利な分、毎日飲むことをおろそかにしてしまう人もいるかもしれません。
セサミンは毎日欠かさずに飲み続けることで、身体を健康的にしてくれるものですから、サプリメントを飲む時間を決めるなどして、継続して摂るように心がけましょう。
セサモリンやセサミノール、セサモールといった他のゴマリグナンは、サプリメントとして製品化されていませんから、これらを豊富に含んだゴマやゴマ油で、セサミンの働きをサポートするのも良いでしょう。
まとめ
セサミンはゴマに含まれるポリフェノールの一種で、私たちが普段口にする食材の中ではゴマにしか含まれていません。
セサミンの効能の多くは抗酸化作用に由来するものであり、そのような効能の代表例としては次のようなものが挙げられます。
- ・しみ・しわ・たるみなどの肌の老化の予防・改善
- ・白髪・脱毛・薄毛などの髪のトラブルの予防・改善
- ・活性酸素が原因のうつ病・自律神経の乱れの予防・改善
- ・アテローム性動脈硬化の予防
- ・脂肪肝の予防・改善
また、セサミンには抗酸化作用に由来するもの以外にも、次のような重要な効能が数多くあります。
- ・肝臓の代謝機能の活発化
- ・アルコールの分解を早める
- ・女性ホルモン・エストロゲンのサポート
- ・血中の脂質濃度の低下
- ・ビタミンEの節約
セサミンはゴマに約0.1%しか含まれていない、大変貴重な栄養素です。
ゴマにはセサミン以外にも貴重なポリフェノール成分が含まれていて、これらを総称してゴマリグナンと呼びます。
ゴマリグナンには、次のようなものがあります。
・セサモリン・・・セサミンと共にゴマに多く含まれ、身体への吸収率や脂質代謝の活性化においてセサミンよりも優れています
・セサミノール・・・セサモリンが変化したもので、ゴマサラダ油(太白ゴマ油)に多く含まれています
・セサモール・・・セサモリンが変化したもので、茶褐色のゴマ油に多く含まれています
・エピセサミン・・・セサミンの一部が変化したもの(立体異性体)で、セサミンサプリメントに含まれる「セサミン」の半分はこのエピセサミンです
セサミンや他のゴマリグナンを効率良く摂るために、次の点に気をつけるようにしましょう。
- ・ゴマはすり潰す
- ・油はゴマ由来のものを利用する
- ・忙しい人はサプリメントを活用